やまのぼブログ

山登りなどの記録

槍ヶ岳 表銀座テント泊縦走(1日目)

2023年8月27日〜30日、槍ヶ岳の表銀座を縦走しました。

槍ヶ岳は長野県松本市、大町市、岐阜県高山市の境界にある北アルプスの山で、中部山岳国立公園に属し、日本百名山、新日本百名山、花の百名山に選ばれてます。一目でそれと分かる山容は遠方からでも確認でき、穂高岳とともに多くの登山者が憧れる山です。登山道は上高地からの槍沢ルート、新穂高温泉からの飛騨沢ルート、表銀座縦走、裏銀座縦走、槍穂高縦走など様々ありますが、今回は表銀座を縦走します。

計画では、1日目は中房(なかぶさ)温泉から急登の合戦尾根を登り燕山荘を経て大天荘へ、燕山荘到着時点で時間に余裕があれば燕岳まで足を伸ばします。2日目も早朝から行動開始して槍ヶ岳を目指します。3日目は予備日扱いでフリータイム、南岳小屋まで往復して大キレットとその先の穂高連峰を間近に眺めようと思います。4日目は標高差2000m下って新穂高に下山します。

さて、表銀座縦走の難易度は9C。技術的にはCだけど体力的には10段階の9で、総合的には過去最高難度。はじめての槍ヶ岳をこのルートで、しかもテント泊装備ということでかなり厳しい山行になると思われますが、はたして無事登頂&下山できるのでしょうか。

前日の8月26日、この日から始まった高速道路工事の影響で高速バスの到着が遅れると予想してたけど、結局1時間30分ほど遅れて松本到着。たぶん9年ぶり3度目の松本ですが、大糸線の列車の兼ね合いで食事もせずあとにしました。

松本駅から30分ほどで穂高駅に到着。なんというか、和風な趣き。中房温泉行きのバスがあり、朝一番の臨時便に乗るために駅の近くで前泊します。

駅から5分くらいのところにある穂高神社。本宮、奥宮、嶺宮があり、奥宮は石碑の前を通っただけ、奥穂高岳山頂にある嶺宮だけ行ったので、順番的に逆な気もするけど本宮に参拝。

さて、先ほどから雷の音が聞こえて夕立がきてもおかしくない空模様。早めに宿へ移動して、近くのスーパーで夕食と翌日の朝食や追加の行動食を購入しました。20時くらいに消灯したけど、山のほうが光りまくり。そんな中でテント泊なんてことにならないことを願って眠りにつきました。

 

翌27日、3時台に起きて準備して4時35分に駅前のバス乗り場へ。全然並んでないなぁ、と思ったら後ろにマイクロバスが止まってました。

急いでたのでブレてますが、すでに1台満席。2台目も自分が最後の1人でした。大型バスは途中から乗る人を取りこぼさないためと思われるけど、結局ほとんど乗ってなかったようで、振り分け方に疑問を感じました。

途中で渋滞気味になりつつ、5時30分過ぎに登山口に到着。右の建物で登山届を提出できますが、今回も事前に提出しました。

お手洗いや準備などして、5時45分、登山開始。

スタートから40分ほどで最初の休憩場所が見えてきました。

第一ベンチに到着。出だしはいつも良いペース。逆に言えばオーバーペースなのかも。ここでは10分ほど休憩。(ささっと撮ろうとしたせいか、ややブレ気味…)

この先に水場があるけど少し下るらしいのと、十分な量を用意していてまだまだ余裕があるので立ち寄りませんでした。

40分弱で第二ベンチに到着。少し空腹感があったので行動食を摂ることに。気付いたら15分くらい経ってて少しゆっくりしすぎました。

第二ベンチを過ぎると平坦な道が多かったので、休憩短くても良かったかも。

また40分程で第三ベンチに到着。ここでも10分程度休憩しました。だいたい標高差200m以内に休憩所が設けられていて、次の富士見ベンチまでの区間だけが200mを超えるようです。

急登の合間に、ふと脇に目をやると苔などが生えていて何気に撮影。

そしてまた40分ちょっとで富士見ベンチに到着。急登でペース落としたので距離は短いけど時間かかりました。その名の通り富士山が見えるのだろうけど、登山開始時点から雲が多かったので期待してませんでした。

登山口から4時間ほど歩いて、ようやく合戦小屋が近付いてきました。

花崗岩が露出して、六甲山のロックガーデンのような雰囲気でした。

あと5分の看板。自分のペースが落ちたのもあるけど、すれ違い待ちに加え、配信用動画の撮影と思われる人も居たりして待機してたのもあり、少し時間かかってます。

10時すぎに合戦小屋に到着。休憩込みで4時間20分ほどかかりました。スイカのノボリもあるくらい、スイカが名物になっています。

荷揚げ用のリフトが動いてました。登山口の下の有明荘から第二ベンチの近くを経由してここまで荷揚げして、さらに燕山荘まで歩荷さんが運んでいました。

ナナカマドの実が色付いていました。

スイカではなく、昨日スーパーで買ったトマトや行動食を食べて20分ほど休憩したので、そろそろ燕山荘を目指して出発します。

ちょっとしたスペースで休憩してる人がいたので自分も10分ほど休憩。で、行動再開したらそのすぐ先に広い休憩場所がありました(たぶん合戦沢の頭)。30〜40分歩いてちょっとした鎖場を過ぎた辺りでガスが少し取れてうっすら燕山荘の建物が見えてきました。

トリカブトの花、初めて見ました。うまく撮れてないけど。(実は剣山で見てましたが、気付いてませんでした)

テント場が見えて、稜線上に上がると裏銀座の山々が!ガスってあまり見えません。

最後の階段を登って12時すぎに燕山荘到着。振り返ると、そこには燕岳が…

はい、全然見えません!仕方ないのでとりあえず食事。燕山荘の食堂で食べようと思ってたけど、荷物減らしたほうがいいかな?ってコトでカップ麺を消費しました。

食事しながら30分ほど待っていると、ガスが取れて辛うじて姿を現しました。北アルプスの女王と呼ばれるだけあって、どことなく気品が感じられます。

花崗岩の白とハイマツの緑。すっきり晴れていれば青空のコントラストも加わってさらに美しかったことでしょうね。そして、またガスの中に消えました。

飲み物を購入して、水も2L追加購入。ここからは稜線歩きで次の小屋まで補充できないので多めに持っておきます。

燕岳に立ち寄ると宿泊地に到着する頃には日が暮れそうだし、景色も期待できなさそうなので、12時50分すぎに先へと進みました。

なんか排泄物のようなにおいがすると思ったら猿の群れを何度か目撃。どうやら猿の生息域のようです。そして前方に岩が見えてきました。蛙岩と書いて「げえろいわ」と読むそうです。

登山道は岩の左側を巻いているけど、積雪時は中央の隙間を通るそうです。それにしても、これのどこが蛙なのか。

反対側から見ても、やっぱりどこが蛙なのか分かりませんでした。

高山植物の女王と呼ばれるコマクサの花が、しおれかけの状態でした。なのであえて寄らずに撮影。もう少し早い時期に登らないとダメですね。

大下りの頭というところを過ぎて、大きく下ります。登り返しは必然なのであまり下って欲しくないけど、道がそうなってるので仕方ありません。鞍部まで下ったところでひんやりした風が吹いてて、つかれた身体に心地よくしばし足を止めてクールダウン。少し登り返したところで団体さんが休憩してたので自分も一休み。どうやら為右衛門吊岩というところの少し手前のようです。ここで雨粒が何度か当たるのを感じて携帯を確認すると圏外。まだ降り始めというほどでもないし、もう少し様子を見ようと考えていたけど、この時に準備しておくべきでした。

 

行動再開して5分も経たずに雨が降りだしました。時刻は15時ちょっと前、携帯で天気予報を見ると15時に5mm、16時に1mmの予想。本降りになりそうなので雨具を取り出して上着を着用。下は靴履いてるので履きにくかったけどなんとか着用。カメラバッグのレインカバーもセットしようとしたけど手間取ったので上着の中に隠す。ザックカバーが一番てこずって、マットやヘルメットなど外付けしてるためか上手く被せられない。あとで分かったけど、中間のフックを外してなかったのでどうやっても上手くいくはずない状態でした。木の陰だったけど濡れるので折り畳み傘(落雷の心配はなさそうなので)を差しながら格闘して、とりあえずこれで行くか、ということで歩きはじめてしばらくすると雨足が弱まり、下界が見えてきました。

このドタバタで30分のロス。少し日が差してきたので、開けたところで休憩して雨具や濡れたものを乾かすことに。大天井岳が見えてきたけど、まだまだかかりそうです。

振り返ると燕岳や燕山荘が見えました。雨に降られた場所は稜線の左端から少し右あたりと思われます。

そして、ここまで全く姿を見せなかった槍ヶ岳が、うっすらと見えてきました。小槍もおぼろげながら確認できます。

さらにガスが取れて、逆光でシルエットになった北鎌尾根の稜線が見えました。

1時間ほど歩いて切通岩に到着。当時槍ヶ岳への最短ルートとなる喜作新道を開拓した小林喜作氏の功績を称えてレリーフが設置されています。

下りたところから反対側を撮影。分かりにくいけどハシゴの上に鎖がついてます。

燕岳方面はすっきり晴れてきました。

少し登って分岐に到着。大天井岳や常念岳方面と、槍ヶ岳方面への喜作新道に分かれます。ここはテント場がある大天井岳方面へ進みます。

最後の登りを登っていくと、燕岳の左奥に鹿島槍ヶ岳が見えてきました。

西には立山と劔岳も見えました。立山の左下に見える稜線のピークは烏帽子岳かな。

18時15分、大天荘に到着。アクシデントあったけど予想以上に時間かかりました。

たぶん自分が最後だと思うけど、まだ場所の余裕はありました。

受付を済ませて場所を確保。夕焼け空に浮かぶ槍ヶ岳のシルエットが見えました。

左には大キレットの向こうに穂高連峰。

昼間の天気を考えると、この景色を見れただけでも良かったです。

大天井岳とは反対の方向。あのピークからは市街地が見えるのかな?

そして右寄りの山が大天井岳(2922m)。山頂まで10分だけど、テント設営しないといけないし、設営してるうちに日が暮れるのでパスしました。

テント設営中、雲に隠れて槍の穂先だけが見えました。

暗くなる前にテント設営終了。槍ヶ岳にかかってた雲が取れてました。しばらくすると暗くなってきたのでテントに入って食事して、たぶん21時には寝てたと思います。稜線上だけど風はそれほど強くなかったと思います。(記憶が曖昧)

2日目へと続きます。

最後までお読みいただきありがとうございました。