やまのぼブログ

山登りなどの記録

長峰山〜摩耶山 日帰りで行ける槍穂高

2023年10月28日、日帰りで長峰山と摩耶山に登りました。

はじめに、今回非常に長いです。2分割するか迷ったくらいに長いです。ですので、その心づもりでお願いいたします。(と、予防線を張っておく)

長峰山(ながみねさん)は摩耶山の東北東1.5kmにある山で、六甲山地の主稜線から派生した尾根上にあります。自分が山登りを始めた頃から通行不可になってましたが、どうやら麓の登山口付近が私有地となったため、この尾根上の登山道全てが通行止めとなっていたようです。しかし、私有地を通らないルートがあり、登山アプリでも通行可能となっていたので、気温が低くなったこの時期に登ることにしました。

さらに、以前から興味があったシェール槍や新穂高にも登ってみようということで、合わせて行くことにしました。今回初めて歩くルートが3〜4割、逆方向が初めても含めると約8割が初めての道です。

摩耶山周辺を拡大しました。杣谷峠で縦走路に合流して掬星台に向かい、摩耶山の山頂手前で桜谷道を下りて、シェール道経由で登り返してシェール槍に立ち寄り、再度縦走路に合流して徳川道を下り、途中で新穂高に立ち寄ってトエンティクロスを通って下山します。標準コースタイムは10時間超、休憩込みで12時間、距離は約20kmになります。自分で計画しておきながら言うのもなんですが、どうしてこうなった。

6時25分、六甲道駅を出発。まだまだ街中ですが、登山口との標高差は200m以上あり、すでに山登りが始まっていると言っても過言ではありません。

駅の西側から坂を登って商店街を通ります。ルート図では駅の東側からバス道沿いを通るルートになってますが、こちらのほうが少しだけ距離が短くなります。

10分ほどで阪急六甲駅(通称「ハンロク」)に到着。

六甲登山口の交差点。登山口の雰囲気は全くありませんが、もしかしたら近代登山が始まった頃には実際に登山口だったのかもしれません。

これから登る長峰山と摩耶山が見えます。

摩耶山の電波塔などが見えます。登山を始めるよりずっと前から何度も通ったことがある道ですが、ここから確認したのは初めてかも。

炭山橋の交差点で六甲川を渡ります。六甲道に六甲登山口に六甲川と六甲づくしで、ここが六甲の代表みたいな感がありますが、六甲山の山頂はこの坂を登ったところからかなり離れてます。

この辺りは篠原台と呼ばれる住宅街で、かなりの急勾配なのでコンクリート舗装の道です。神戸の山手にはこういう道が多いです。(注)安全確認して一時的に車道に出て撮影しました。

六甲道駅から45分かけて登山口に到着。すでに標高250m以上で、大阪方面を一望できます。

少しズーム。遠くに大阪のビルが朝もやの中に浮かんでいるのが見えます。

さらにズーム。ビルの左後方の山影は方向的に生駒山かな。中間にある建物は芦屋浜のマンション群です。

そしてこちらが登山口。7時15分、登山道に入りました。

そこそこの急斜面に加えて砂地で滑る滑る。ここで左足のアキレス腱辺りを少し痛めてしまいました。実は登山始めた頃にも六甲山か摩耶山で同じところを痛めて、1年くらいは山登りの時に少し痛みました。最近はなかったけど、また続くのかな。

5分ほど歩くと左に分岐する道があります。冒頭でふれた私有地に続く道なので、そのまま直進します。

簡易な階段がありました。これだけでも歩くのがかなり楽になります。

やや道が不明瞭だけど、藪漕ぎがあるそうなのでそのまま進んだものの、道を間違えたようです。少しずつ引き返すと、ここで右に折れていました。左前方に鋼製の堰堤が見えて気を取られたのもあるけど、全く気付きませんでした。

前方に藪が見えたけど、登山アプリを見たらコンパスの向きが違う。おかしいなと思って引き返したらコンパスが直りました。どうやら持ち物の中にあった磁性が強いものに反応して一時的に不具合が出たようです。ということで藪の中へ。自分の背丈よりも高かったけど足元は見えていたし、1分ほどで抜けました。他にも藪漕ぎは何箇所かありましたが、ここが一番深かったです。

稜線に出て風が少し冷たかったけど、薄手の長袖Tシャツでも大丈夫なくらいでした。

8時30分、長峰山の山頂(688m)到着。この岩は天狗塚というそうです。それにしても、摩耶山には天狗道、六甲ケーブルの近くには天狗岩があるし、天狗だらけですな。

大きな岩ですが、登りやすく難しい要素はありません。

摩耶山方面。左が摩耶山で、摩耶ロープウェーの駅や電波塔などが見えます。中央左の建物がオテル・ド・摩耶、中央のピークが摩耶別山です。

摩耶山の南斜面越しに神戸の街並み。こちらから摩耶山を見たのは初めてなので、目新しく感じました。

分かりにくいけど、うっすらと明石海峡大橋が見えました。

大阪方面の眺望は登山口のほうが良いです。

岩から下りて、岩の横を通過して振り返ったところ。道幅はあるけどすぐ横は崖なので通行注意。

階段が整備された道を下ります。長峰山から先の区間は通行止めの解除が早かったようで、登山道の状態も良い感じでした。

そして下ったら登り返しがあるのが世の常。

アップダウンを繰り返して杣谷(そまたに)峠に到着。下に見える建物はお手洗いです。ちなみに「杣」とは、木材を切り出す山という意味だそうです。

杣谷峠の向かいに穂高湖の入口がありますが、工事中で立入禁止です。近くにある「神戸市立自然の家」のリニューアルの関係だそうです。

道路から工事の様子が見えました。

しばらく奥摩耶ドライブウェイに沿って歩きます。ここは六甲全山縦走路でもあります。

ここでアゴニー坂という道を登ります。初めて通ったのは縦走東半分の下りで、かなり急な印象だったけど、今となっては普通に思えます。

アゴニー坂を登ったところで摩耶別山(715m)の分岐があります。見えにくいけど道標に「←摩耶ロッジ」と書かれてて、道標としての機能が不十分な気もしますが。この方向で歩くのは2回目で、前回も分岐に気付いたけど、縦走の時(逆方向)は気付かなくて、単に見落としたのか、それとも反対からは気付きにくいのか。

ついでに摩耶別山に立ち寄りました。水道局の施設がある以外、特に何もありません。

2年前に閉館になったオテル・ド・摩耶(旧摩耶ロッジ)ですが、空調は動いてるようです。再開の予定があるのか、単に資産価値維持のためなのか。

掬星台まであと少し。ここにお手洗いがあります。

9時45分、予定より1時間ほど早く掬星台に到着しました。

東側にはベンチとテーブルがある広場のほか、東屋と展望台があります。左手前に水道水の水場があります。

東側の展望台から大阪方面。今年の2月までこの展望台の存在を知りませんでした。

長峰山の尾根の向こうに六甲ガーデンテラス方面が見えます。六甲山の山頂は見えなさそう。

もうひとつの展望台から見た神戸方面。どちらの展望台からも大阪から神戸まで見ることができますが、こちらのほうがロープウェイの駅に近く、人が多い印象があります。

北側には100人くらい入れそうな大きい東屋があります。

自動販売機は4台、電子マネー対応のものもあります。ゴミ箱は6つもあります。

摩耶山の山頂手前の分岐。左に行くと上野道と青谷道。まっすぐ進むと天狗道。

そして右に桜谷道があり、ここを下ります。

途中まで観光地仕様の階段でしたが、少し歩くと山道になりました。何度か渡渉しながら下っていきます。突然道が荒れたと思ったらヘアピンカーブのように折り返してました(画像は撮ってません)。すぐ気付いたけど油断禁物です。

谷沿いの道を下ると、時々登りが出てきますが、その場合たいてい堰堤があります。これまでも経験がありましたが、今回確信しました。(画像とは無関係です)

道標に森林浴コースと書かれていました。たしかに森林浴できそうな雰囲気です。春先にはあまり来たくない感じでもありますが。

45分ほど歩いたところで徳川道に合流して登り返します。

途中で分岐してシェール道を登って行くと、右手に新穂高が見えてきました。

この道も谷沿いで何度か渡渉していきます。そして急な登りが出てきたら堰堤、そう分かると気分も楽です。

炭窯跡がありました。明治時代の頃までに六甲山地の木はほとんど切られていたそうなので、使われていたのもその頃までかな。

堰堤を越えたら堆砂敷がありました。たんまりと溜まってますね。

11時45分、穂高堰堤に到着。ここまでの傾斜は緩かったけど、すでに10km歩いて足取りが重くて、思いつきでロッキーの映画の戦いのシーンで流れるGoing The Distanceをうろ覚えながら脳内再生したら、アドレナリンが出たのかペースを維持できました。

さて、ここからシェール槍に行く道があるけど、穂高湖の工事の関係で通行止めになってます。もちろん事前に知ってたけど、実際登っている人もいるようなので行けるか確認することに。

すると、看板の先に何重もロープが張られてました。さすがにこれを突破してまで行く気にはなれません。近くで休憩取りながら様子を見てたけど、皆さん断念してました。工事は来年の春までなので、それ以降のお楽しみにします。

また縦走路に合流して、はじめての山登りで使ったルートを逆方向でたどります。アゴニー坂の分岐(右奥)を少し過ぎたところから下りますが、ドライブウェイが出来る前はアゴニー坂と直通してたのかな。

徳川道のと合流点までは正直あまり良い道ではなかったです。合流点に「すぐありま」と書かれた石碑。ここから有馬まではかなり歩くのだけど。

石碑の反対側は「すぐまや」。30分かかるけど有馬と比べたらすぐですね。

ということで徳川道を下ります。道幅も広く緩やかで歩きやすい道です。

新穂高への分岐だけど、ここは藪漕ぎらしいのでもうひとつの道に向かいます。

石段が崩れてやや歩きにくいところもありました。

20分ほど下ると新穂高の登山口がありました。登山道は急登なのに加えて道が分かりにくくて、ただでさえ14km歩いてるし左足も痛めてるので、かなりペースダウン。

おそらくここを下ってから登り返すんだろうけど、かなりつかれてきたし、まだ下りも長いから無理しないほうが良いと判断して撤退することにしました。

ここの岩から新穂高を見ようかなと思ったら、スズメバチが何匹かいたので先に進まずに引き返しました。時刻は13時25分、ゆっくり歩いても日没までに下山できます。

さて、引き返す途中、鹿の監視用のカメラを発見。でも登りではなかったハズなので、どうやら道を間違えたようです。登りで見かけた札があってルートに復帰したと思ったら、またまた道を見失う。かなりのルートファインディング能力が求められます。とりあえず無事徳川道に下りられました。万全の体制で改めて挑みたいと思います。

ここは見憶えあるけど、上流(左)からの土砂などが以前より貯まってました。

こちらも見憶えのある木道、というか仮設通路っぽい道。

歩きやすい道が続きます。

徳川道の飛石渡しと書かれた看板がありました。ここを渡ると森林植物園に行けるようですが、寄り道せずに進みます。

この渡渉箇所も見憶えがあります。

川面に山が映ってました。

河童橋に来ました。どこかのと比べてはいけません。

橋を渡って緩い登り坂を進むと、すぐにあじさい広場がありました。この先に崩落地点があり迂回路も示されていますが、補助ロープもあるのでそのまま進みます。

崩落地点を下りてきたところ。2年前は「こんなトコを登るのか」と思ったけど、今回見たらそれほどでもなかったです。さて、下りたトコから右(画像左)のほうに道が続いてるけど、直進して川に降りてる人がいて、「そっち?」と思ったけど、違うと言えるほど自信がある訳ではないし。とりあえず自分が思うほうに進みつつ、念のため登山アプリを見ると対岸に道が書かれてました。引き返して確認したけど明らかに違う。地図もアプリの登山道も多少のズレはあるし、踏み跡や目印をよく見て判断しないと、低山でも遭難するリスクはあります。

自分の記憶に従って進むと見覚えある渡渉箇所がありました。直進してた人もこちらに歩いてきたので大丈夫でしょう。

黒岩尾根との分岐に注意書きがあります。2年前と同じで「大変キケン」と書かれてますが通行禁止とは書かれてません。歩いてると突然耳元で何かの虫の羽音がして、この日一番びっくりしました。何事もなかったから良かったけど、ハチとかに刺されたり、驚いた拍子にバランス崩して滑落や転倒なんかもありますからね。

16時、市ヶ原に到着。お手洗いに寄って自動販売機で飲み物を購入。

ここにもゴミ箱がいっぱい。市ヶ原でのバーベキューなどは可能なので、それに合わせてたくさん設置されているようです。それとテントが5張ほど設営されていました。ここまで来る途中にもザックにテントマットを付けた団体さんとすれ違ったけど、国立公園なので指定地以外でのテント設営は基本的に違法になるようで(市ヶ原も設営できないそうです)、テント泊可能な神戸市立自然の家はリニューアル中だし、どこに設営するつもりだろう。

布引貯水池の横に断層が露出しているところがあって、中央左寄りに破砕帯があるのが見えます。

布引ダムの上から。ちょうど日が沈むあたりに向かって断層が続いてるそうです。

まだ十分明るいけど照明が点いてました。

展望台の少し手前で街が見えてきます。大阪湾の向こうには和泉山脈が見えます。

見晴らし展望台に来ました。左に金剛山と大和葛城山、真ん中に紀見峠が見えます。その向こうに見えるのは高野山かなと思ったけど、方向的に違うようです。

少し下りたところに、昨年だったかな、お手洗いが新設されました。直進しても下りられるけど、右に曲がって布引の滝に寄りました。

観覧場所にはたくさんの人がいたので道の途中から。布を垂らしたような線を描いていました。

17時に新神戸駅に到着。道迷いも含めて合計20km以上、休憩込みで10時間半の山行でした。余力はあるけど、やはり後半のペースが落ちます。日没に間に合うし、ゆっくり撮影しながら歩いたのもありますけどね。

はじめての山登りのルートを逆方向でたどることもできて、登りと下りの見え方の違いや、各地点の位置関係を把握できたりして楽しめました。今回登頂できなかったシェール槍と新穂高については、来年の春以降に改めて行きたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。